20周年記念シンポジウムの記念誌『こーじを友に今を生きる~それぞれの一歩~』の感想をあちこちから頂いています。11月末には毎日新聞に載り、お問合わせもありました。「いろいろな方たちの症状や苦労、その後の生き方、そして今の状態、とても参考になります」「私たちだけではないのだって勇気づけられました」「当事者や家族の言葉はすごいです!」などなど。そんな中、昨年読んだいくつかの本に高次脳機能障害のことが書かれていました。少し紹介させていただきます。
宮下奈都さんの『静かな雨』(文芸春秋)。『羊と鋼の森』の作者のデビュー作で、「新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在が全てだった行助の物語。」事故で高次脳機能障害になったこよみさんがブロッコリを茹でているとき、「ブロッコリなんて見るのも嫌なくらいだよ」「昨日もいったのに、忘れたの?」と言う行助。そして後日あちこちに「行さんはブロッコリがきらい」「ユキ ブロッコリ」に×を付けたメモを発見する。また「まるきり思い出せないわけじゃないの。昨日見た夢が脳裏をよこぎるみたいに、いつかの場面が一瞬よみがえることがあるの。早すぎてつかまえられない。そこにあった色や形みたいなものが、目の前をかすめていくの、まだ温かいままで。ふっと残像が消えて、もう戻らない。」記憶障害って一口に言ってしまうけれど、こういう感じなんですね。
鈴木大介さん『されど愛しきお妻様「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間』(講談社)。「41歳で脳梗塞に倒れたものの、懸命なリハビリの末に現場復帰したルポライター。その闘病生活を支えた「お妻様」、実は「大人の発達障害さん」なのでした。略」。自分が脳梗塞になって、初めて奥さんの障害を理解するようになる話に、頷き、アーそういう感じなんだと納得、感動の連続でした。詳しく書きたいけれど、沢山ありすぎて・・・是非お読みください。
小林純也さんの『脳卒中患者だった理学療法士が伝えたい、本当のこと』(三輪書店)。11月に開催された、区西南部高次脳機能障害者支援普及事業「専門的リハビリテーションの充実事業」講演会の講師だったのがこの小林さん。23歳で脳卒中を発症し、その後理学療法士となった小林さん、当事者は自分の運動感覚や身体感覚の麻痺を、どのように感じているのかを疑似体験も含め、判りやすく話されました。早速著書を購入。当事者の本当の気持ち、よく判ります。これもぜひ読んでいただきたい一冊です。少しでも共感できるために。
当事者からの発信、増えてきています。