主な症例

高次脳機能障害をご存知ですか?脳卒中(くも膜下出血・脳内出血等)・感染症などの病気や交通事故・転落等で脳の細胞が損傷されたために言語・思考・記憶・学習等の面で起こる障害を指します。脳の中の障害のため、外見から障害を見極めるのは非常に困難です。患者本人が自覚していない場合も多く、周囲からも理解されず、福祉政策を受けにくい状況に置かれています。そこで「高次脳機能障害の詳しい症状・症例」についてご紹介させていただきます。

高次脳機能障害の主な症例

半側空間無視 自分が意識して見ている空間の片側(多くの人は左側)を見落とす。社会復帰のための援助をして行く上で、一番影響が大きいと言われる。
半側身体失認 自分自身の身体像が歪んだり、身体の一部を自分のものでないように思っていたり、麻痺があるのを認められない。
地誌的障害 よく知っている場所で道が分からなくなって迷ったり、自宅の見取り図や近所の地図が書けない。
失認症 目は見えていても、色・物の形・物の用途や名称が分からない。よく知っている人の顔を見て誰なのか分からない。聴覚や触覚についても同じような症状が見られる。
記憶障害 比較的古い記憶は保たれているのに、新しいことを覚えるのが困難。約束したことを忘れたり、日時を間違えたり、場所が分からなくなり、目的地へ着くことができずに迷子になることがある。
失行症 手足は動かせるのに、意図した動作や指示された動作が行えない。歯を磨こうとして、歯ブラシをどう扱ったらよいか分からず、歯磨きのチューブを口に持っていく、等。
失語症 他の人に意志を伝えたり、他の人が伝えてきたことを理解したりすることが難しくなる。
注意障害 ひとつのことに注意を集中したり、多数の中から注意して必要なことを選ぶことなどが難しくなる。気が散り、疲れやすいため数分しか課題が行なえないこともある。
遂行機能障害 生活する上で必要な情報を整理・計画・処理していく一連の作業(目標を決め→計画し→手順を考え→実施し→結果を確認する)が難しくなる。その結果、生活上起こる様々な問題を解決していくのが困難になる。
行動や情緒の障害 ちょっとした困難でも著しい不安を示したり、逆に興奮して衝動的になったり、一種のパニックのような状態に陥ることがある。反対に自発性が低下し自分からは動こうとしない状態を示すこともある。