こーじ通信

No.106 私たち抜きに、私たちのことを決めないで!
2021年12月

 後段の記事にも書きましたが、「高次脳機能障害者支援法」制定へ向けての動きが語られるようになってきました。TKKでも2、3年前から話には出て、勉強会を開催したり、研修会などにも参加してきましたが、どこからどうやって手を付けたらよいのか、いつも議論は途切れてしまっていました。
 そういう中でも、当事者の方々の話を聞く機会が増え、出版物も多く出されるようになり、ご家族たちもお気持ちを隠さずにお話されるようになってきています。医療や支援者たちからでは判らない思いや生活が伝えられてきています。
 表題の「私たち抜きに、私たちのことを決めないで!(Nothing about us, without us)」という言葉を聞いてから久しくなりました。この言葉のルーツは、1966年に国連で採択された国際人権規約の「すべて人民は自決の権利を有する」にあり、その後「障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)」を作る上で、「私たち抜きに、私たちのことを決めないで!」をスローガンとして世界中の障害当事者、団体が参加して作成、2006年に国連で採択をされました。それまでは、当事者が関わることはなく、この権利条約では、当事者である障害者が一緒になってつくられた条約として画期的なことだったと言われています。
 11月7日にZoomウェビナー開催の高次脳機能障害実践的アプローチ講習会の講師の一人であられた小島秀人氏(調布市役所、社会福祉士)による「高次脳機能障害者支援法」制定に向けてのお話がありました。その中で「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」が今年6月11日可決、9月18日施行されたということを知りました。「基本理念」と「支援措置に関する国・地方公共団体の責務」「医療的ケア児支援センターの設置(都道府県ごと)」などが定められたそうです。「発達障害者支援法」と同様、「基本法」(理念法)としての性格だそうですが、「発達障害者支援法」の流れを考えると、制定後大きくその支援が変わってきています。
 「高次脳機能障害者支援法」を考えるにあたって、高次脳機能障害のある方々や家族はためらわず、たとえ言葉は稚拙であっても、障害ゆえの生活のしづらさ、制度の狭間で支援の受けにくい状況での思いや意見などを率直に表明していく必要があります。まさに「私たち抜きに、私たちのことを決めないで!」です。それを基に医療、福祉、支援者、行政などの専門家たちと一緒に法律という形にしていくことになります。今こそみんなで立ち上がって声を出すべきだと強く感じています。


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