1月17日、NPO法人高次脳機能障害者支援「笑い大鼓」主催の「家族教室in名古屋」に今井、太田が講師として行ってきました。この「家族教室」は、TKKが2010年、11年に行った「高次脳機能障害のグループ訓練講座」の最後に、中島恵子先生がその必要性を語られました。「笑い大鼓」は、それを2012年からすぐに実践されてきたとのこと。毎年シリーズで続けてこられ、今回は今年度の9回目だそうです。その実行力に感心しました。また参加された当事者、家族の方々が約70名と、これも驚きでした。家族の「学びの場」「新しい出会いの場」として、しっかり定着していました。
そんな中、家族また支援者としての立場で「かかわり(係わり、関わり)」をテーマに語って欲しいとの依頼でした。東京都の実態調査のグラフを参考に、当事者と家族の思いの違いがあること、そのギャップに当事者は苛立ち、家族の疲労感につながっていることからお話を始めました。とかく家族は「私たちが元気なうちは」「元に戻そう」「できる限りのことはやろう」と抱え込みがあり、当事者も介護されるのに慣れてしまって、依存し、なかなか自立した生活ができない、という共依存になりがちです。このことを事例に挙げながらお話ししました。太田さんは、最近息子さんが一人暮らしを始めたこと、そういう気持ちになった原点が、家族会に入って素直に現実を受け入れることができるようになったことなどを語りました。
大きなテーマである、介護者亡き後も自立した生活をするにはどうしたらいいか?「自立した生活」をどう考え、組み立てていくか。「良いリハビリ病院や施設はありますか?」という相談がよくありますが、「リハビリは日常の生活の中で行われていくもの」であることを、ここでもお話ししました。
司会の加藤美由紀さんが、会場からインタビュー形式でいろいろな声を拾ってくれました。サービスがない他市の方の、名古屋市でのサービスを認めてくれないので自費で通所している話では、会場にやはり他の市に名古屋市への通所を認めてもらったという方がおられ、そのノウハウを生かして行政に働きかけよう!などという嬉しい情報交換も見られました。子どもや夫に家事なんてさせられないという方々もいらっしゃり、自立支援の難しさを考えさせられました。
支援者も「待つ」ことが大切。やってあげてしまうのは簡単であり楽。一人で出来るようになるための「見守り」を意識して行うこと、支援者の自己満足に気をつけることなど、今井がヘルパーとして学んだ話もしました。
最後に太田さんが良いことを言いました。「私は息子にお金を残すより、人を残してあげたい。」
高次脳機能障害者と家族の会 代表 今井雅子