こーじ通信

No.82 失語症会話パートナー
2015年12月

 高次脳機能障害の一つである「失語症」は、身体障害とされているために、国の診断基準からも除外されています。しかし失語症は、早くから身体障害者手帳が取得できる制度になっているにもかかわらず、取得されている方が少ないと聞いています。その理由には、ご自身がその不自由さを伝えられないこと、また家族でも本人の思いの半分ぐらいしか理解できず、介護も大変で、情報不足ということがあると思います。また取得しても、失語症の障害等級は3、4級で支援を十分に受けられない状況だとも言われています。全国失語症協議会によれば、その数30万人~50万人とされ、3級は27%、4級は12%、持っていない人は21%、不明が40%と、支援につながらない人がたくさんいらっしゃいます。相手に失語症であることを伝えることすら困難であることを考えると、日常生活でのコミュニケーションに苦労されており、社会的な孤立という深刻な問題となっています。

 平成25年4月から国の支援も『高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業』に名称を変更し、失語症の方の支援にも力を入れてきています。我孫子市や四日市市などでは「失語症会話パートナー派遣事業」を始めています。

「失語症会話パートナー」とは、失語症の人がかかえる悩みや生活の不便さを理解し、スムーズにコミュニケーションが出来るように橋渡しとなる支援をする人のことです。(改訂「失語症の人と話そう」より抜粋)しかし我孫子市等でも、私たちの希望の個人派遣ではなく、自主グループの活動や会議、催し物などで支援している状態です。
 世田谷区でも養成講座を行っており、今年で11期生、修了生は111名となります。今井も受講して資格を取得しました。以前から世田谷区には、「失語症会話パートナー」がボランティアではなく、制度として利用できるようにと訴え続けてきましたが、受講してよくわかりました。求められているものが違うのです。10の自主グループ、総合福祉センターやデイホームでのグループ訓練等に、失語症の方々が集まって会話を楽しむことで、グループダイナミックスやグループが持つ「治療的な力」が生まれ、それを支援する役割として必要なのです。

 個別訪問には、失語症以外の知識や介護技術が必要で、ともに外出するとなるとボランティアでは責任が持てない、と会話パートナーの方々は言います。現実は失語症の方の家にもヘルパーさんたちが在宅支援に入っています。このヘルパーさんたちがもっと失語症のことを知り、その支援方法を習得できるようになれば、より良い支援につながるのだろうと、次なる要望を考えているところです。

高次脳機能障害者と家族の会 代表 今井雅子


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