こーじ通信

No.99 家族の多様化と介護力
2019年10月

 当会では、この通信の発送作業と同時に世話人会、そして「お話し伺います!」という相談を受けています。毎回1~2人(組)がご相談にいらっしゃいます。あちこち聞いて歩いてここにも、という方から、知り合いからの紹介、インターネットで探して見つけた、という方など様々です。いろいろお話を伺いながら、かつての自分を思い出しながら、これだけ情報が手に入りやすくなっても、やはり悩みは同じなんだなぁという思いを強くしています。入院期間やリハビリ期間の制限がかえって理解を難しくしているのかもしれません。短い時間に、事実を受け入れ、当事者の介護や一家の今後を決めていくには、家族としては非常に大変なことだろうと思います。
 そのような中で最近とみに感じるのが、家族の有り方がずいぶん変わってきている、ということです。少し前には「老老介護」「認認介護」または「ヤングケアラー」などと言っていましたが、そういう家族すら見えてこないような状況が増えてきています。かつて介護保険が導入された当時は、核家族によって家族の介護力が低下してきており、介護の公的な支えが必要だと言われました。それでも女性が介護に当たるケースは多かったように思います。
 しかし、家族がいてもみんな仕事をしていて、介護だけに専念できない家庭がすごく増えています。仕事を休んで、または辞めて介護する、という方は少なくなってきており、当事者が主婦であれば、なおさら夫は仕事を辞めるわけにはいかず、さらに家事や育児がのしかかってきます。
 また単身者も増えています。独身で仕事を生甲斐としていた方が倒れた場合、障害ゆえか実家を飛び出してきて一人暮らしをされている方、籍は入れていないがパートナーがいらっしゃる方などなど。
 サービスと結び付けていくには、単純には行きません。入院、転院、手術などは「身元保証人」がいないと出来ないことがあります。疎遠になった家族を呼び出すこともありますが、なかなか難しい。とくにいつも身の回りを世話にしているパートナーの立場は辛いものがあります。「お前は何者」と言われ、知らされないうちに転院を決められた、などという話を聞きました。
 こんな話を知人としていたら、「最近はLGBT(セクシュアル・マイノリティ、性的少数者)の方々からの相談もあるのよ」と話してくれました。もう「家族の介護力」などと言ってはいられない、やはり「地域での支援」がもっと充実してこないと支えられなくなってきているのだろうと思います。「多職種連携」と言われていますが、本当の意味でその方を支え続けていかれる仕組みづくりが急がれています。


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