気が付いたら、このニュースも100号を迎えることになりました。No.1が、発会した一年後の1999年9月20日発行ですから、20年余の年月が過ぎていきました。この間、国のモデル事業、支援普及事業と支援の仕組みが徐々に出来てきて、地域差はあるものの「高次脳機能障害」という障害名もだいぶあちこちで見かけるようになってきています。それでも当事者や家族にとっては、本当の意味での理解と支援にはまだまだだ、と生きづらさを抱えて生活しているとは思いますが、ずいぶん社会は変わってきたのではないでしょうか。
実は私が入会のころ、へぇーと思ったことがあります。当会を立ち上げた、前代表の鈴木さんが「高次脳機能障害になる原因は沢山あります。でもこの会は原因を問いません。原因は何であれ、高次脳機能障害という症状で困っている、というところでお互いに理解し合い、学び、支え合い、行政に制度からこぼれ落ちているこの障害への支援を訴えていくことが大切です。」という、会の基本的スタンスをいつも語っていたことです。
たしかにその頃は「脳外傷」だったり、「若者」だったりと、高次脳機能障害であっても、各々の会のくくりの枠があって入会できない方々もいらっしゃいました。そういう方々の多くが、当会に入会されてきたのも事実でした。また介護保険と障害者福祉の縦割りの中で、原因の多くを占めている脳卒中の当事者たちは、脳外傷の若者などとは違う、というような扱いもありました。支援普及事業でも、対象は「若者」でした。しかしそのうち国も、失語症の方々の支援や子どもの問題にも取り組むようになり、制度の枠だけでは捉えられない現実を考えてくれるようになってきています。
そういうことを考えると、鈴木さんの考えは、最初から実に的確にこの障害と向き合っていたと今更ながら感心します。鈴木さんが亡くなられた後も、私たちはその考え方を踏襲し、さらに「来るものは拒まず、去る者は追わず」、そして世話人は無理のない所で「出来る人が出来るところで活動して行く」というスタンスを貫いています。決して無理をせず、困っている方の話に耳を傾け、判る限りでアドバイスをしたり、他に繋いだり、レクリエーションにお誘いしたり・・・。少々物足りないと思われる方々もいらっしゃると思いますが、私たちはこのスタンスをこれからも続けていくと思います。鈴木さんが生きていらしたら、合格点をくださるかどうかは判りませんが、細々でも続けることはそれなりの意味があると思っています。「継続は力なり」を信じて。