こーじ通信

No.101 高次脳機能障害と環境
2020年4月

 高次脳機能障害者にとっては「環境整備」ということがとても大切です。このことを痛感したことがありました。
 私事ですが家の建て替えのために、1月下旬に仮住まいに引越しをしました。施設通所をしている主人のことも考えて近所にしたのですが、運悪くいろいろな行事とも重なり、新しい生活に慣れるまでに時間がかかりました。地誌的障害、記憶障害があるため、同じ駅でありながら、新しい家に帰ってくるのに迷ってしまいました。また出来るだけ生活しやすいようにと、今まで使っていたベッドやテーブル・椅子などはそのまま使えるようにしましたが、テレビのアンテナ端子の無い部屋なので、観ることが出来ません。それだけでも生活スタイルが変わってしまいました。またトイレや浴室、食堂の場所などが分からなくなってしまったり、電気のスイッチの場所が分からず、夜中のトイレに行ったあと自室に戻れない等など、家の中でも大混乱が生じました。
 その上、引越しから半月後の「春の音コンサート」の出演、その1週間後の豊橋での研修会出演などと、彼にとってかなりハードスケジュールな時期だったことも重なりました。イレギュラーな生活、さらに家族も引越しによる忙しさや自分たちの生活を整えるのに精一杯だった中で、彼はかなり苦しんでいたと思われます。「環境整備」ということが、いかに安心して生活するために必要なのかを思い知らされた出来事でした。
 現在、新型コロナウィルスが感染拡大となり、7都府県に緊急事態宣言が出されました。世界中が大変な思いをしている中、みなさんはどうされているのでしょうか?感染の人数やその増加スピードなど、地域によって状況は違ってはいますが、施設通所の方、就労されている方、通院しなければならない方、どんな立場でも生活を変えざるを得なくなってきています。通所先が閉所になってしまったり、外出を控えるなどの生活となって、一日の行動パターンが崩れてしまい、出来ていたことが出来なくなってはいませんか?ハードなリハビリとなりますが、終息まで何とか乗り切ってください!
 そんな中良い話も。親元を離れて一人暮らしをしながら就労している方が、通勤を自粛して自宅に戻りました。身一つで帰省されたので、後から衣類などを自宅に送るために部屋に行ったのですが、なんと残っていると思っていた冷蔵庫の中の生ものはきれいに無くなっていました。お母さんに連絡をすると「そうなの、何も言わなかったのに持って帰ってきました。びっくりでした。」とのこと。


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