こーじ通信

No.112 25周年の記念講演会について
2023年9月

 気がつけば当会が発足して、今年で25年になります。1998年7月に都立病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)の方々や東京都立墨東病院のバックアップにより、「高次脳機能障害者と家族の会」として発足しました。MSWの方々は、退院してからの患者の様子(生活の中での困難さ等)を知って、何とかしなければと勉強会を何度も行っておられ、国に訴えるには支援者よりも当事者や家族が、と設立を後押ししてくださいました。
 当初は、「高次脳機能障害」という言葉も世の中で全く知られておらず、とにかく理解と支援を!と前代表の鈴木照雄さんが中心となり、国に、東京都に、マスコミにと一生懸命訴えてきました。国のモデル事業から支援普及事業へと全国展開の動きにはなりましたが、安心して生活していくには、やはり理解と支援がまだまだ必要です。理解を深め、支援の地域格差をなくしていくためには、「(仮称)高次脳機能障害支援法」の制定が望まれます。
 この25年の間で私たちの最大の課題は、「介護者亡き後」のことです。2013年の15周年記念講演のテーマも「これからの生活に向けて~新たな一歩を考える~」とし、「住まう」ことに焦点を当て、グループホーム、一人暮らし準備室、一人暮らしの支援の実践を一緒に考えました。それでも、この課題には正解は無く、いつもみんなの頭の中にある重い大きな問題となっています。
 鈴木照雄さんが亡くなられ、急に代表を引き継ぎ厚生労働省に挨拶に行った時、この課題をお話ししました。すると対応された方が「それはあなたたちが草の根運動でグループホームを作ればいい」とおっしゃったのです。確かに、日本の福祉は障害児者の家族が頑張って作ってきたこともありますが、介護や日々の生活だけでも大変な家族に、国はそう言うのか!と、悲しく情けなく思いました。でもその時のことも一因で、家族会の活動も続けてこられたのだろうとも思います。
 それからは国もグループホームに力を入れ、今やいろいろな種類のものができてきています。家族の期待も大きく、良いグループホームを探し、そこに入れれば安心できると思いました。自分たちがいなくなっても、何とか生きていけると思っていましたが、グループホームは終の棲家にはならず、医療が必要になったり、高齢化してきたり、担当職員の交代やグループホームの運営母体が変ったり、環境の変化に弱い当事者たちが、そのまま住み続けることができない状況が起きています。
 今回は25周年に当たって、「どうする将来」として、みなさんとご一緒に、今一度これからのことを考えていきたいと思います。Zoom参加もできますので、どうぞご参加ください。


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